内装11段変速 試乗速報

シマノが発表した新型内装11段変速機=アルフィーネ(11S)のプレス向け試乗会に出かけた。

『For Sporty and Fashionable Cycling』
スポーティーでファッショナブルなサイクリングを!
アルフィーネは、そんなテーマで開発された。従来のネクサス・シリーズが、欧州で主流のトレッキングバイクなど、どちらかといえば日常生活の脚や通勤など、コミューターに近い一般的なポジショニングだったの対して、アルフィーネは、「もう一歩踏み出して、よりスポーティーで、高性能な走りを楽しみたい方に向けて開発した」。走りに妥協無く、しかも洗練されたライフスタイルを自転車で楽しむ“アーバンスポーツ”という層を狙っている。

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アルフィーネ11Sを搭載したイメージモデル。

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アルフィーネ11Sのハブは、ブラックとシルバーの2色がある。


「クルマに例えると、F1のようなレーシングカーではなく、アクセルを踏めば心弾む走りを楽しめるが、お洒落をして遊びに行くにも使える公道を走るグランドツーリングカーのような存在」と、説明された。プレゼンテーションでは、ポルシェ(たしかケイマン?)をイメージ画像に使っていた。

「ALFINE」とは、イタリア語で「最後に」「ついに」「終わりまで」という意味をもつ。ここには、従来の枠を超え、もっと深く楽しく乗って欲しいという願いをこめている。また、隠語として「Always in Fine」というメッセージも隠されていて、昼も夜も、晴れの日も雨の日も、オンでもオフでも(ビジネスとしての意)、、、あらゆるシーンでつねに快適であることを狙ったそうだ。

前置きはさておき、試乗レポートを。試乗には、シマノが市販のフレームにアルフィーネを独自に組み込んだものが用意された。最初に乗ったのは、スコットのSUB10のフレームにアルフィーネ11Sを搭載した車種。

走り出して、まず驚かされたのが、その静かさだ。「スーッ」というタイヤが地面の上を転がる音しかしない。それも変速をしても、ほとんど音が出ないのだ。「カチ、カチ」とか「ガチャ、ガチャ」とか「ガキンッ!」とか、お馴染みの音がまるでしないのは、なぜか寂しい気がするほど。するすると滑らかに軽くも重くも変速操作できる。外装変速機と違い、ペダルをこぐ足を止めたときに出る「カチカチカチ」という連続音すらしない。言わば異次元の感覚だ。例えるならプリウスに初めて乗って、モーターだけで進んでいる瞬間を体験したときに似ている。

その後も都心のアップダウンを何度も繰り返し走り、様々なシーンで変速を試した。ハンドル下で操作する変速レバーは、マウンテンバイクと同様の設計(ラピッドファイヤー・モデル)で、使い勝手もいい。親指を深く押せば一気に2段3段でも変速機できる。感覚としては、かなりグレードの高い外装変速機と変わらないほど素早くストレスのないギアチェンジができる。

これは、内部に使われているギアとベアリングの形状を新しくしたことと、グリスではなくサラッとしたオイルを封入したためだという。しかも、従来の8段変速モデルより、重量を軽く仕上げているのだ。ちなみに重量は、ネクサスの8段変速が1680g、アルフィーネの11段変速は1665g。

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内装ハブに使われるパーツ群。意外とパーツ点数が少ない



また、注目すべき点として、アルフィーネは従来の内装変速機と違い、漕ぎながらの変速が可能になったこと。普通のペダリング中なら、まったく問題なく変速操作ができた。ただ唯一、わざと意地悪をして激坂の上りでフルトルクをかけた状態で変速をしたら、少々大きめの音がして、変速にも時間がかかった。まあ、これはどんな外装変速でも力を抜かなければ変速できないシーンなので、問題ないだろう。

そんなことよりも、静止した状態で変速ができる、内装ならではの特徴がそのまま残されている点を評価したい。たとえば信号待ちをするとき、止まって足を地面についてから、ゆっくり落ち着いてギアを一番軽いギアに入れるのもあり。これに慣れてしまうと、おそらく外装変速が不便でしかたなくなるだろう。

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視認性のいいインジケーター。
実際、これがないと、今どのギアで走っているかが、
わからなくなるほど、きめ細かなギア比を選べるのは
さすが11段変速だ。


ギア比もワイドで、出番の多い中速域で、きめ細かなギアを選べるのが快適だった。一番軽いギア、重いほうのギアは、いずれも都心ではもてあますほどの余裕がある。ギア比は、外装変速機にに換算した場合、トップが53×13T、ロウが24×23Tに相当する。どちらも従来の8段変速より、大幅にカバー範囲を広めている。

その他、メリットとしては、外装変速機のように頻繁にメンテナンスをする必要もないし、変速機をぶつけて壊す心配も格段に少ないこともあげられる。

見た目もシングルスピードのようにすっきりとしている。これだけ、ストレスのないスポーティーな走りを楽しめるなら、アーバンバイクに限っては、もはや外装変速は必要ないような気もする。あとは、どのくらいの価格で完成車メーカーが投入できるかが問題だろう。サイクルモードでデビューする完成車があるか? 今後の動向が楽しみだ。

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シマノが試乗のために用意したモデル(注:市販車ではない)の中には
折りたたみ自転車のBD-1もあった。
従来の内装変速とは異なり、ドロップエンドなど、
ストレートエンド以外のほとんどのフレームにも対応する設計だ。
アフターマーケット用の改造パーツとしても期待できる。
写真の外装変速機は、チェーンテンショナーの代用。


■詳しい情報は、シマノのホームページをご覧下さい。