All City

今回は、ブログ休止中にアメリカで取材したネタを少々。
ソースは、2月にミネソタ州で行なわれたフロストバイクという展示会取材より。

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ミネアポリス仕様のフィクスドバイク。
冬季、この街では、雪を溶かすための薬剤が容赦なく道路に散布される。
これが強烈で、自転車の変速機につくと故障の原因となる。
そこで、故障しないフィクスドギアを選ぶ人も多いそうだ。
それでもハブやチェーンが壊れる可能性があるため、
この街では冬の間、洗ったり手入れをしないそうだ。



All Cityは、2009年に誕生した
ミネソタ州ブルーミントン(ミネアポリスに隣接する市。ミネアポリスの商業圏)に本拠地を置く
気鋭の自転車ブランドだ。
メッセンジャーを中心に広がる”アーバンバイクカルチャー”を楽しむ層に特化した
自転車とパーツを作っている。

もうお気づきの方も多いと思うが、
かのサーリーサルサと同じ、QBPという会社のオリジナルブランドのひとつだ。
この3ブランドに共通するのは、
「自転車に乗ることが好きで好きでたまらない」という人々が
自分たちと仲間が満足できる自転車しか作らないところ。

All Cityは、当初フィクスドギア(シングルスピード固定ギア)の
自転車専門ブランドとしてスタートした。
それは、当時、ミネアポリスも例に漏れず
フィクスドギア・ブームの只中だったから。

数年の時間が経て、日本と同じように
固定ギアで自転車の世界に足を踏み入れた若者たちが
さらなる自転車の楽しみを求め、拡散している。

そんな人たちのセンスにかなう自転車がないなら
自分たちで作っちゃえ、というのがAll Cityのスタンスだ。

で、今回、ショーモデルとしてお披露目されたのが
同ブランド初となる変速機つきのロードバイク=Mr.Pinkだ。
All City初の変速機搭載モデルの登場には正直驚かされた。
(2009年に取材したときには「シングルスピード専門ブランド」と言っていたのに…)

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ジェフの話では、ミネアポリスで開催されている
『ステューパー・ボウル』という40マイル(64km)のアーバンレースで
勝つための自転車なんだとか。

「普通のロードバイクは悪くないけれど自分たちの趣味にあうものがない。
 4年も使えば乗れなくなるカーボンなんてありえないよ。
 レースで勝てる性能で、街中をちょっと流しても気持ちいい自転車。
 そう考えて、コロンバスのゾナ(軽量スチール・チューブ)を選んだ。
 気に入った自転車には一生乗り続けたいからね。
 それに、一目でAll Cityって分かるようなグラフィックにしたんだ」

ジェフの話では、ロードバイクというより
アーバンクロスストリートバイクというイメージなんだとか。
それは、レースに勝てて、ツーリングしても街を走っても楽しい
ちょっと欲張りなロードバイクを意味するそうだ。

ついでに、QBPからは、
このフレームにも採用されているBB30規格(ボトムブラケットのサイズ)に
あわせた、エクセントリックBBも発売。
買った後に簡単にシングルスピードに改造できる裏技も備えている。

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QBPのオリジナルパーツブランド=プロブレムソルブスの新製品。
話題のBB30規格用のシングルスピード改造パーツ。



また、昨年発売され、今回ミネアポリスの街で
やたらみかけたシングルスピード専用設計のシクロクロスバイク
ネイチャーボーイには、新色のブラックと、
さらにレーシングスペックを追求したゾナが登場した。

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ネイチャーボーイの新色。日本価格は完成車で98700円。

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ネイチャーボーイの軽量版ゾナ。
コロンバスのゾナという軽量スチール・チューブを採用。
もちろんシングルスピード専用設計。


ほか、新型として29er仕様の
フリースタイル・フィクスドギア・フレーム=デフウィッシュを発表。
あわせてバイクポロ用に設計したという
26インチ仕様のフィクスドギア・フレームの試作車も展示された。

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シングルスピードの世界も多様化が進むなかで
太いタイヤによる可能性、メリットが見直されている。



最後にジェフに、ミネアポリスの自転車トレンドについて聞いてみた。

「世界を席巻するには、まず自分の街から。
 おれたちはミネアポリスのサイクリストが必要とし、
 愛される自転車を作り続けたいんだ。
 ここ数年でシングルスピード・カルチャーが浸透し、
 次のステップへ進む人も増えてきた。
 フィクスドギアで変速できるシステム(スターミーアーチャーの内装式)を
 選ぶものもいれば、
 変速機を取り付けた普通の自転車に乗り換えるやつもいる。
 ただ、スピリットとして 『都市の中を自転車でさまよう』 ということは
 今も変わらない。
 最近、この街の若い連中にとくに人気なのが
 バイクポロとロマンチックな70年代風のツーリング。
 とくに、自転車でピクニックや気軽なキャンプに出かけたり
 町外れの古い工場跡に出かけるような
 ノスタルジックなツーリング・スタイルは、
 若い子にとって新鮮な遊びとして受け入れられてるんだ。
 自分もそうだけど、心の元にフィクスドギアがある都市型サイクリストに向けて、
 いろいろな可能性を提案していきたい」

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All Cityは、ジェフ・フレイン(上の写真)と仲間が必要とするものを作るブランド。
これまで、サーリーばかりが目立っていたミネアポリスの都市部に
新しい風を送り込んでいる。
ダート志向が強まる同じ街の先輩ブランド=サーリー、サルサの隙を
狙っているのかも!?