勝手にバイシクル・オブ・ザ・イヤー

今年試乗した自転車を振り返り、何が一番良かったかなぁ? と考えてみた。といっても、この一年に試乗した台数は100台程度。しかも流行のロードバイクは、3台ほどしか乗っていない。クロスバイク、ツーリング車、ライフスタイル系自転車、ミニベロ、フォールディングバイク、マウンテンバイク、電動アシスト自転車、ロングテールバイクなど、クルマでいうところの乗用車やRVに該当する車種ばかり。

いい自転車は、たくさんあった。でも、自分が買ってまで欲しいと思う自転車は、片手の指を折り曲げるほどしか出会えなかった。そのなかでも、今すぐ欲しい、これ買っちゃいたいと今でも思っている自転車が、サルサ/ヴァヤだ。

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メーカーのカタログには、「アドベンチャー・ロードバイク」と説明されている。試乗するまで、この「アドベンチャー」の意味がまるで理解できなかった。ところが、この自転車に乗った瞬間に、「なるほど」と、意図を理解することができた。

シルエットの細いクロモリスチールフレームにドロップハンドル、そして、メカニカルディスクブレーキが搭載されている。2011年モデルのトレンドのひとつであるシクロクロスバイク風でもある。ところが、タイヤは太いオンロードを意識したパターン。

ユニークなのは、そのタイヤの設定で、小さなフレームサイズ(50、52cm)には、26×1.75インチを採用し、54cm以上のフレームには、700×40Cが装備される。ぼくが試乗したのは、50cmのフレームに26インチのタイヤを組み合わせたもの。

路面の追従性がすこぶる高く、幅45mmほどもある太いタイヤが嘘のように軽々加速する。スピードの乗りも悪くないし、軽快にペダルの回転数を上げられ、またそれをキープすることも不快ではない。路面から伝わる振動の和らげ方も、実に上品で、このまま未舗装路に入り込んでも、突き上げがほとんど気にならないほど。それどころか、積極的にオフロードを走りたくなるような気分だった。フレームの設計がしっかりとしていれば、26インチのタイヤでも十分であることに驚きを覚えた。むしろ、このハンドリングのファンキーな感じは、700Cではなく26による恩恵であるように感じた。

ハンドリングについても、落としどころが素晴らしく、過敏にはならない程度に良く曲がり、体重の移動に対して素直にスムーズに曲がってくれる。とくに小さなコーナーの連続を繰り返すようなシーンが心地良く、乗る人に操る楽しさや歓びをビシビシ伝えてくる。

しかも、メカニカル(ワイヤー式)とはいえ、ディスクブレーキの制動力は、どんな場面でも意のままにスピードコントロールができる。

拡張性にもぬかりはなく、ドロヨケ、キャリアの装着も問題なし。エレガントなグラフィックやカラーコーディネートも悪くない。

今でもランドナーのようなレトロな様式美にのっとったツーリング車に根強い人気が集まる日本市場では、ヴァヤのように革新的な自転車は、なかなか受け入れられないと思う。でも、ヴァヤが提案する最新のスペックで、最新の走りを楽しめる“グランドツーリング”という世界があることを知っておくのは悪いことではない。アドベンチャーというのは、自分の中の見えない壁を越えることも意味すると思う。違いの分かる大人の方は、ぜひ試乗車がある店を探して乗ってみて欲しい。

サルサ/ヴァヤ 174300円(完成車)、54600円(フレーム&フォーク)